ウチとソト、ハレとケ、モノとコト

右京区の家 リビング・ダイニング (2)

「モノ」と「コト」、「ウチ」と「ソト」、「ハレ」と「ケ」。
住まいを紐解くキーワードです。
このように正反対のことばをならべていくと、いままでわからなかった事がわかったり気付いたりしてくるものです。

「モノ」と「コト」 モノは形をもった素材そのものであり、実際に手で触れることのできる物質です。 対して、コトは「その住まいで営まれる暮らし」とでもいいましょうか、生きること、生活すること、楽しむこと・・・。モノはただの物ですが、コトは私たち人間の精神活動です。
例えば音符とメロディーの関係もおなじ。音符はただの記号ですが、そこから生まれてくるメロディーは心を豊かにします。

「ウチ」と「ソト」。 外を意識しない室内なんてありえない。窓から見える風景が美しいかどうかで、暮らしはかわります。窓の外に緑を。
住宅地だけど森の中にいるような暮らしができたら素晴らしいじゃありませんか。外が内をデザインするといってもいいくらいです。

「ハレ」と「ケ」 日常と非日常といってもいいのですが、たとえば毎日料理をつくること。これが義務とか労働になってしまう状態が「ケ」といって「ケガレ」になってしまいます。いつもの日常が「ハレ」となるように、暮らしそのものが楽しみであり、ありきたりの日常が特別な日になるような家をつくりたいものです。

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佐藤隆幸

佐藤隆幸

美大で油絵を学んで、手伝いのつもりで入った設計事務所の先生が茶道の名人。茶室の真髄を目の当たりにして(驚愕して!)そのまま建築設計の道へ。 モネもフェルメールも等伯も、バウハウスも現代建築家の諸作品も、僕にとっては同じ地平にあります。 住宅建築で大切なことは、調和とバランス。内と外の関係性。日常と非日常をゆるやかに結びつけるための調和であり、私たちの暮らしが豊かなものになるために関係性をデザインすることは、とても重要なことなのです。 玄関へ向かう路地は、日常から非日常へ移行するハレの空間。リビングから見える緑や眺望は、何ものにも代えがたい生活の宝物です。 住宅設計に携わって30年余り。大分から大阪へやって参りました。休日に京都の古寺を歩くのが楽しみで、クラシックの古いレコードも楽しみのひとつ。根っからの活字人間なので 谷崎潤一郎の「陰翳礼讃」がmilestoneです。
佐藤隆幸

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